2007年9月3日月曜日

KIの映画評 vol.12

 今回は、公開が始まるホットなドキュメンタリーをふたつ。
一見全く違う趣の映画なのだけれど、見終わった後に共通の思いがわいてくる。権力から重い被害をこうむった人が、人間への信頼を取り戻していく、率直で愛 情あふれる人間関係で人が変わっていく…、2作とも、その過程が映像を通して体験できると言ったらいいのだろうか。こんな世の中だけど、こんなふうに関わ り合える、人間ってそう捨てたもんじゃないと思えてくる。(KI)

■『オレの心は負けてない―在日朝鮮人「慰安婦」宋神道の闘い』★★★★☆
 朝鮮の忠清道で生まれ、16歳の時だまされて中国に慰安婦として連れて行かれ、敗戦後、
再びだまされて日本に渡り、半世紀にわたり、過酷な暮らしの中で 心の傷を深めていった宋神道さん。宋さんが、「支える会」のメンバーと出会ってからの10年を映画は追っていく。裁判に踏み切る過程の中で動揺し、不安を ぶつける宋さん。とまどいながら宋さんの気持ちを受け止め、建前でなく真っすぐに向き合うメンバーたちの率直な語りがいい。メンバーたちと宋さんがお互い の気持ちを確かめ確かめしながら信頼関係を築いていく姿がていねいに語られ、この「在日慰安婦裁判を支える会」の10年の重みが説得力を持って伝わってく る。宋さんが自分の受けた被害を語っていくこと、そしてそれを聞いてくれる人がいること、その人たちが逃げずに向き合い続けてくれること。裁判をたたかっ た10年の中にそういう時間があったからこそ、宋さんが裁判の敗訴にも「オレの心は負けてねえ」と語れる今を獲得できたのだと納得できる。
 宋さんに謝罪も補償もしようとしないこの国や、裁判所に怒りがわくが、この10年の「支える会」との出会いの中で、宋さんがかけがえない人間関係を得 て、心に受けた被害を回復していくこのドキュメンタリー、魅力的な宋さんのキャラクターと共に一見の価値あり。今後各地で自主上映、ネットで調べてみて。


■『ミリキタニの猫』★★★☆☆

 ニューヨークに住む80歳の日系人路上画家ジミー・ミリキタニ。このドキュメンタリーの監督、リンダ・ハッテンドーフが毎日歩く路上で彼はいつも絵を描 き、その絵を買わない限り施しも受けない誇り高きホームレスだった。2001年9月11日、ツインタワーが崩れ落ちる緊張状態の中で、咳き込みながらそれ でも絵を描き続ける彼を見て、リンダは思わず彼を自分のアパートへ招じ入れ、その日から2人の奇妙な共同生活が始まる。
 戦争中、日系人強制収容所に送られたため、アメリカに抵抗して自ら市民権を捨てたジミー。強制収容所での痛ましい記憶、決して忘れることの出来ない怒り、癒えない傷。ジミーは長い間、心の中でたったひとりの孤独なたたかいを続けていた。
 リンダは手をつくして47年前にジミーの市民権が回復していたことを明らかにし、彼の社会保障番号を探し当てる。彼は老人ホームへの入居が可能になり、 離ればなれになっていた姉の生存を知る。孤独で頑固な彼をサポートするリンダの行動が自然でとてもいい。彼に向き合う時の飾らない率直な態度。それは、1 作目に紹介した「支える会」のメンバーたちの宋さんに対する態度に通じるものがある。
 ジミーは、彼が以前収容されていたツールレイク強制収容所の跡地をリンダと共に訪れる。そこでの過酷な生活の中で幾人もの命が消えた。記憶をたどりながら彼はつぶやく。「もう怒ってはいない。通り過ぎるだけだ。思い出はワシに優しかった」


2007年9月2日日曜日

イルダ記者との交流会

昨日はイルダ記者との交流会でした。
ソウルの竹下通りと表参道がミックスしたようなインサドンという通りの伝統茶のお店で懇談会。
4ヶ月の記事提携はふぇみん→イルダの記事のほうが イルダ→ふぇみん よりも多いのですがそれは、紙媒体とネットの制約の違いなので、仕方ないかなと。
お互いが刺激になっていることもわかりなかなかおもしろかったです。
またネットの活用についても意見交換しました。
その後移住労働者の映画祭に立ち寄りました。
外国人労働者の研修生問題で裁判の判決があったとのこと。
映画祭のパーティも熱気にあふれていました。
それにしても、通訳してくれているスンミさんは大活躍。でも話したりないことばかりで困ります。

今日は写真なし。というかカメラを忘れた一日だったのです。