2012年11月8日木曜日

ドキュメンタリー映画『長良川ド根性』を見て



ドキュメンタリー映画 『長良川ド根性』


長良川河口堰をご存じだろうか。
建設反対の署名をした人も多いかも知れない。

河口堰が完成してから16年。
最後まで建設に反対した三重県桑名市の赤須賀漁協の漁民たちを主人公にした映画「長良川ド根性」ができた
かつて年間3000トンもの水揚げをあげていた桑名のハマグリは河口堰の建設により減少の一途をたどり、1トンまで落ち込んだ。中流域では、河口堰の建設によって川底に砂が堆積し、あゆは全く獲れなくなり、春先のサクラマスも何日も網をかけてようやく1匹という状態だ。

赤須賀漁協は「中京圏の21世紀の未来を阻害している」とまで言われながら最後まで反対運動を闘い、建設後は生き残るために、人工干潟を作らせ、ハマグリの養殖などに取り組んだ。10年をかけて養殖は軌道にのり、ようやく100トンまで回復している。

こうした努力の実る中、20代、30代の若手漁師も増えた。
彼らは赤須賀の貝をブランド化しようと、ラベルを作り、ハマグリを使った丼を試作する。また、学校給食に使ってもらおうと、調理師の勉強会にも出かけシジミの料理法を披露する。山村の子ども達を招待して干潟で潮干狩りをする取り組みも続いている。

護岸工事の説明に漁協を訪れた国土交通省の役人との和気あいあいとした説明会が終わると、秋田組合長は「漁場を残すためなら悪魔とも手を組むわ」と言って笑う。

ところが、2011年、大村愛知県知事が当選すると、一転して河口堰の開門を政策に掲げた。県が設定したヒアリングで、赤須賀漁協の秋田組合長は、「河口堰は必要と言われ、(漁協は)東海3県の悪人として決着された。洪水対策や水の供給に役だっているというのを心の慰めにしてきた。
今ごろになっていらなかったと言うなら、掘り上げた何万トンの砂を元に戻せ」「ヒアリングなら、建設を推進した県や名古屋市に聞け」と言って席を立つ。政策に翻弄されながら生き残るべく生きる人々を描く。
制作は東海テレビ。
(編集部・い)


映画の紹介は、こちらにも。