11月12日、グアテマラ戦時下性暴力スピーキングツアーで来日している、マヤ先住民族女性、アリシア・ラミレスさんの講演を聞きました(@横浜 主催 WE21ジャパンほか)。
私、写真下手ですね・・・もっとにこやかでステキな人です。
グアテマラは、1996年末に集結した、30余年にわたる内戦で、虐殺、誘拐、拷問、女性への性暴力が行われました。その数は、国連の真相究明委員会でも明らかにならないほどで、「ゲリラ掃討」という名の下に、農村の人々が虐殺され、440の村が消えてしまったと言います。
そして、凄惨な女性の性奴隷化、性暴力の被害者のほとんどは、マヤの先住民女性でした。
2000年に行われた女性国際戦犯法廷に、「現代紛争下の女性への性暴力」というテーマで、
ヨランダ・アギラルさんが、グアテマラの内戦下での性暴力を告発したのを機に、帰国後、ヨランダさんは被害を受けた女性たちのエンパワーメント とメンタルヘルスを組み合わせたプログラム「戦時性暴力の被害者から変革の主体へ」をスタート。その後は、110人の女性が参加する「沈黙を破る女性たち」プロジェクトへと発展。同プロジェクトは、被害女性の視点からの歴史的記憶の回復と正義の追求を通して、自己回復とエンパワーのプロセスを進め、自身や共同体、社会を変革する主体となれることを目指しているとのこと。
さらに、女性たちは、2010年3月には民衆法廷を首都で開催し、昨年9月には15人の女性が加害者の処罰を求めて裁判所に告訴したのでした。
来日したアリシアさんは、今36歳。「沈黙を破る女性たち」プロジェクトを運営する3団体の一つで、被害女性に同行サポートなどしています。
自分自身は、内戦で性暴力に遭うなどしていないが、両親とともに死体の山を踏んで逃げたのを憶えていて、その後、1人のマヤ女性としての自分を考えたときに、多くのマヤ女性が被害に遭った内戦時の性暴力の問題にいきあたったとのことでした。
民衆法廷、加害者処罰のための告訴・・・と、どれだけの勇気と痛みとエネルギーがいるだろうと
思うけれど、アリシアさんは「私もこういうことを話すと泣きたくなるのを必死にこらえている。被害者の女性たちは、『生きているうちに正義の裁きを』と訴え、証言を終えると満足そうにしているが、その途中は辛いのだ。自分を責めたり、病気になったり、いろいろな長い道のりがあった」と言う。
告訴した女性の1人は、がんを患っていますが、「自分たちの身におこったことは自分たちのせいではないことを知ってもらいたい。どんな女性もどんな女の子も性暴力の被害に遭ってほしくない」と言っているそうです。
しかし、現在、内戦が集結したといっても、まだまだグアテマラの治安は不安定だとか。
さらに、最近では、大規模開発のための強制立ち退きの過程で、女性への性暴力が頻発している
とのこと。
アリシアさんは、今も続く性暴力の被害女性へのサポートとともに、内戦で何がおこったか知らない
若い世代へ伝える活動もしているそうです。
アリシアさんは私の同世代。彼女の痛み、感情を通じて、グアテマラの女性たちの経験がより
身近に感じたのでした。
(編集部・登)