2008年1月22日火曜日

つくばみらい市 DV講座中止に抗議する賛同署名

つくばみらい市における平川和子さんの講演会直前中止に抗議し、改めて実施を求めます
署名はこちら(受付〆切:2008年1月28日(月)正午)

   1/20につくばみらい市主催で予定されていた平川和子さん(東京フェミニストセラピーセンター所長)の「ドメスティックバイオレンス(DV)」をテー マにした男女共同参画講演会(タイトル「自分さえガマンすればいいの?―DV被害実態の理解と支援の実際」)が、直前の1/16になって、市によって中止 を決定されていたことが、毎日新聞ほか(注1)で報道されました。報道によれば、1/16にDV防止法に反対する民間団体が、市役所前で「数人が拡声器を 使って抗議する騒ぎ」を起こしたため、市の担当者が「混乱を招く」(毎日新聞1/18)「市民に危険が及ぶ恐れがある」(産経新聞1/17)と中止を決定 したものです。抗議した団体の代表(男性)は、「市長直訴の抗議により、中止が正式に決定された」、「少数が巨大な行政を圧倒・屈服させた」と発言されたと伝えられています(注2)。

 講師予定者の平川さんが直ちに市長宛に送った抗議文によれば、市側の説明では「西村と名乗る男性と他に数名の女性が、役所内に拡声器を持って押しかけ、 職員に対する誹謗中傷などを大声でまくしたて、講演会の中止を求めて詰めより、そのうえ講演会の当日には街宣活動を行うとの予告をしたため、講演会の参加 者に危険が及ぶ恐れがあるとの判断のもと、やむなく中止した」とあります。平川さんはこれを「講演会主催者と私に対する暴力であり、参加市民に対する暴力」にほかならないと認識しており、私たちも彼女の認識に全面的に同意します。

  改正DV防止法(2007年制定本年1月11日施行)によれば「主務大臣(法務大臣と厚生労働大臣)は都道府県又は市町村に対し、都道府県基本計画又は市町村基本計画の作成のために必要な助言その他の援助を行うように努めなければならない」(第2条の3、5項)とされています。改正前にすでに茨城県が 策定したDV対策基本計画の関係文書によれば、「県民一人ひとりが「DVは許さない」といった認識を強く持っていただくことが、何よりも大切なことです。 このため、県では、今後とも学校や家庭、地域、職場などにおいて、人権意識を高める教育や男女平等の理念に基づく教育を促進していきます」とあります。つくばみらい市が計画していた講演会は、まさに県が推進している「地域における人権意識を高める教育」そのものといえます。そのような事業が少数の暴力によって妨害されることを、見過ごすわけにはいきません。

  中止の報道に接してわたしたちは大きな衝撃を受け、あってはならないことが起きたとふかく憂慮しています。市の行事が少数の人々の暴力的な行動によってくつがえされたことそのものが問題であるだけでなく、DVという暴力に対する人権を守るための事業が、少数の人々の暴力によって実施不可能になるとすれば、DV被害者および支援者を暴力から守るべき責務を負う、自治体の姿勢に対する信頼もゆらがざるをえません。このような暴挙がまかりとおるなら、今後他の自治体においても、DV関連の事業がいちじるしい不安にさらされるだけでなく、講演や学習会等の啓発事業についても「混乱をおそれて」自主規制する自治体が続出しないともかぎりません。

 このような暴力に対して、市がとるべき態度は、きぜんとしてこれを退け、安全を確保したうえで、予定通り事業を実施すること以外にありません。市当局 が、暴力に屈して出した今回の中止決定をすみやかに取り消し、あらためて日程を調整して、平川さんの講演会を実施することを、わたしたちは心から求めま す。また平川さんおよび関係者の身辺の安全に配慮することをも要望いたします。

(注1)「DV防止法:反対団体の抗議で講演会中止 つくばみらい市」@毎日新聞(1/18)
http://mainichi.jp/select/today/news/20080118k0000e040081000c.html
「抗議受け市の講演会中止に DV被害支援めぐり」@MSN産経(1/17)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080117/crm0801171225014-n1.htm
「DV防止法講演会 団体抗議で中止に つくばみらい」@東京新聞茨城版(1/18)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20080118/CK2008011802080348.html
(注2)http://seaside-office.at.webry.info/200801/article_15.html

呼びかけ人(敬称略・50音順・08.01.21現在);
青山薫・赤石千衣子・麻鳥澄江・有村順子・石田邦子・市場恵子・伊 田広行・伊藤公雄・稲邑恭子・井上輝子・上野千鶴子・小川真知子・戒能民江・木村涼子・熊田一雄・黒岩秩子・小島妙子・今大地はるみ・坂上香・早苗麻子・ 佐藤明子・さとうももよ・出納いずみ・鈴木隆文・鈴木ふみ・土橋博子・角田由紀子・寺町知正・寺町みどり・内藤和美・中原道子・中村彰・西野瑠美子・丹羽 雅代・沼崎一郎・橋本育・長谷川京子・姫岡とし子・弘田しずえ・福沢恵子・フックス真理子・船橋邦子・細谷実・堀田哲一郎・皆川満寿美・三井富美代・米田 佐代子



2008年1月15日火曜日

「新テロ対策特別措置法案」の衆議院再議決に強く抗議します


ふぇみん婦人民主クラブは、「新テロ対策特別措置法案」について、以下のように抗議文を出しました。



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2008年1月15日

内閣総理大臣 福田康夫様  

防衛大臣 石破 茂様  

外務大臣 高村正彦様


「新テロ対策特別措置法案」の衆議院再議決に強く抗議します

 私たち、ふぇみん婦人民主クラブは平和・女性の人権・環境問題に取り組んでいる女性団体です。1月10日、参院本会議で否決された新テロ対策特別措置法案は、翌日の11日、57年ぶりという衆院での三分の二以上の多数による「再議決」という強硬手段によって成立しました。防衛省幹部による汚職、給油のイラク戦争への転用問題があきらかになったこと、新法では国会承認規定が削除されていることなどから、各種の世論調査で海上自衛隊の給油再開には50%を超える反対がありました。しかし、それを無視しての暴挙でした。

 2001年「9.11事件」の後、米国が始めた「テロとの闘い」によるアフガニスタンへの武力攻撃は、国際法や国連憲章にも違反した侵略戦争でした。この攻撃で多くのアフガニスタンの市民が殺され、爆撃で家を失い、難民化しました。6年以上が経過した今日、外国軍による自国の占領へのアフガニスタンの人々の怒りは高まっています。治安状況は悪化の一途をたどり、米兵の死傷者数は昨年1年間で843人という過去最悪の数を記録したということです。

日本政府・与党は、平和憲法の精神を無視して2001年、テロ対策特別措置法を制定し、海上自衛隊をインド洋に派兵し、この後方支援活動によってこれまで700億円を超える税金を投入してきました。昨年11月1日、テロ特措法は期限切れとなり、自衛隊はインド洋から撤退しました。アフガニスタンのカルザイ政権も、タリバンなどの反政府グループに「武力ではなく対話」を求めるという姿勢に転換しはじめています。武力で平和は来ないことがあきらかになったにも関わらず、福田政権は臨時国会の会期を2度も延長し、「再議決」という非常手段をとってまでして、米国への貢献を選択したことは大きな誤りです。福田政権がいまなすべきことは防衛省をめぐる軍需産業・商社との政管癒着構造の徹底究明であり、疲弊したアフガニスタンの人々への医療、教育などの民生支援と和平交渉の推進だと考えます。あらためて、平和憲法に基づいた真の国際貢献の手段を選択することを強く求めます。


ふぇみん婦人民主クラブ
150-0001東京都渋谷区神宮前3-31-18
TEL03-3402-3238/3244

2008年1月6日日曜日

KIの映画評 vol.15

どんなお正月をおすごしでしたか?昔と違ってお店は、たいてい元旦から開いていましたね。それだけお正月も働いている人が多いってことで、働いていた皆様本当にお疲れ様でした。年の初めの今回は、にぎやかなお正月映画でなく、生きる基本、食べ物の映画を2本。(KI)

■ 『いのちの食べかた』★★★★☆

 とにかく不思議な映画だ。野菜、果物、鶏、牛、豚…、それらが収穫されたり、解体されたりする画面が次々と現れる、オーストリア、ドイツ合作のドキュメンタリー。私たちが毎日普通に食べている物だが、どの映像も今まで見たことがない。
 ナレーションもインタビューもなく、進行する作業の光景が淡々と続く。ピッチングマシンのような機械で運ばれるヒヨコたち、自動車工場のように次々と無駄なく肉に加工されていく豚や牛。
 時に目を見張るほど美しいその画面が鮮やかに映し出すのはグローバル化時代の食品生産の現状だ。ニコラウス・ゲイハルター監督は、その現状を告発するというのでなく、ただその現場を見せるために淡々とこの映画を進行させていく。
 森達也監督は本作の解説で、「食とはいのちの矛盾を咀嚼することでもある。…忘れないこと。意識におくこと。目をそむけないこと。凝視すること。そのためにこの映画はある」と語る。
 パリ国際環境映画祭グランプリ、アテネ国際環境映画祭最優秀作品賞など、世界各地の映画祭で話題になったのもうなづける。この映画の現場を見ないまま肉を食べていてはいけないんじゃない? そんな気にさせられる。

■ 『ファーストフード・ネイション』★★★☆☆
 
 世界20カ国140万部を超える伝説のベストセラー・ノンフィクション、同名の原作(日本では「ファストフードが世界を食いつくす」)をもとに制作されたこの映画のコピーは、「世の中には知らないほうが幸せなことがたくさんあるんだよ」。
 利潤の追求に専心するハンバーガー・チェーンの本社幹部。劣悪な労働条件の下、下請けの精肉工場で酷使されるメキシコからの不法移民。ファーストフード店で時給をかせぐ学生アルバイトたち。三者三様の日常が、“牛肉パテへの大腸菌混入”という事実が明らかになったことにより交わり、その中で“食の安全性”、“格差社会”、“環境破壊”など、現代社会の病巣があぶり出されてくる。
 2006年カンヌ国際映画祭・コンペティション部門に出品され賛否両論を巻き起こしたというが、こういう映画に、「リトル・ミス・サンシャイン」の父親役でいい味を出したポール・ダノ、「ビフォア・サンセット」のイーサン・ホークなどをはじめとする豪華俳優人が多数出演するというのもすごいことだ。役者たちにマクドナルドからの圧力はなかったのかしらとちょっと心配になる。