2007年6月11日月曜日

お泊まりしました!

やっと実現したお泊まりプロジェクトの参加!
ブルーテント村でお泊まりしました。

もうつくと夜。
ブルーテント村はひっそりと公園の中で静まっていました。
ろうそくのあかりの中でごはんをいただき、よもやま話。
なぜか話題は身体技法の話へ。フェルデンクライスや、アレキサンダー○○、操体、野口体操などなど…
そしたら他のふぇみんメンバーまでテントへと…

風が強く、雨は降らなかったものの、風の音で寝られないかと思ったのはほんの5分。
テント村ですやすやと眠ったのでした。
あ、写真はネコのナイトーさんです。かわいいよ。

朝、いちむらさんが言ったとおり、まず、5時半にほうきでテントの周辺をしゅっしゅっとはく音が。
次に、飛べないカラスの十兵衛に「こら!十兵衛!」と怒る声。
テントの天井に木漏れ日が映ります。
朝。もう日向ぼっこしたり洗濯して干している人まで。
ああ、ここに暮らしがあるなあーなんて。

テントの前にはキイチゴが。

もしかしてふぇみんでお泊まりがはやってしまうかも?
朝、手書きのすごい本をもらいました。

2007年6月10日日曜日

KIの映画評 vol.10

時にはフィクションが、実際に起きていることよりも、もっと現実を映し出すことがある。それを見ることで何かを体験してしまうような、自分のリアルな記憶 として心に残り続けるような…。今回紹介するのは、フィクションで、とびきりのエンタテインメント作品でありながら、たくさんの現実が織り込まれた2作。 (KI)

■「それでも生きる子供たちへ」★★★★☆
原題は、「All the Invisible Children(見えない子どもたち)」。130分の映画の中に、7つの国の子どもたちが登場する。ブ ラジル、イギリス、アメリカ、セルビア・モンテネグロ、ルワンダ、中国、ひとつのパート20分足らずのドラマにそれぞれのかけがえのない個としての彼らの 生き様が描かれる。ストリートチルドレン、HIV体内感染、少年兵士など容赦のない現実の中で生き抜く子どもたち、見終わった後、彼らの一人ひとりが心に 入り込んで、忘れようにも忘れられない存在となる。監督は、「シティ・オブ・ゴッド」のカティア・ルンド、「マルコムX」のスパイク・リー、「アンダーグ ラウンド」のエミール・クストリッツアなど、この企画を7カ国の巨匠たちが引き受けた。それぞれの監督の魅力も際立ち、短い時間に自分の世界に引き込む手 際はさすがだ。世界中の子どもたちの窮状を救うためのひとつの手段として作られたこの映画の収益は、全額、ユニセフとWFP国連世界食糧計画に寄付され、 子どもを救う助けのため活用されるという。6月公開。

■「パッチギ!LOVE&PEACE」★★★★☆
前作は、1968年の京都を舞台に在日朝鮮人と日本人の恋やケンカを描き、青春群像劇として2005年度の主要映画賞を総ナメにした。今 回は、1974年の東京、枝川を舞台に物語が展開する。あい変わらず殴りあいで始まるこの映画、井筒監督はこういうシーンがよっぽど好きなんだろうと思う んだけれど、でも映画を見ていく内、この殴り合いの痛さよりも、心のほうが、数倍痛いと思う場面に次々出くわす。前作のヒロイン役、沢尻エリカが「映画だ けど映画じゃない、事実を伝える最高の教科書みたいなもの」と言う通り、今回の映画にも、学校の教科書では教えないたくさんの事実が盛り込まれている。こ の中で明らかにされる日本社会での在日の存在のさせられ方は、常々、親しい在日の友人たちから聞かされてきた。そういう意味では、1974年が舞台と言い ながら、この物語は今の日本社会にもそのままつながっている。映画の中で、重ねて描かれる1944年の南洋諸島での日本軍のドラマは、封切られている映画 の「君のためにこそ死にに行く」なんていうコピーがどれだけリアリティのないものかをはっきりさせるだろう。今、この国で一緒に生きているのは日本人だけ じゃないのだと、まずわかるためにも、自分の周辺に「在日」がいない(と思っている)人にぜひ見て欲しい。5月19日全国一斉ロードショー。

2007年6月6日水曜日

KIの映画評 vol.9

 太平洋戦争後アメリカに占領されていた沖縄が復帰して35年。沖縄に行くのにパスポートが必要だったなんて知っている人は少なくなっているんだろうなあ。 でも、悲惨な地上戦が戦われた地であることと、米軍基地が集中していることは知らないではすまされない。縁あってこの6、7年沖縄に何度も通っているが、 行く度になんと言ったらいいのだろう、その空気に圧倒されるというか。なにか、沖縄には違うカミサマが住んでいるようなのだ。今回紹介するのは沖縄の映画 2本。『涙そうそう』なんか見ている場合じゃないよ。(KI)

■『恋しくて』★★★☆☆
 沖縄の映画といえば、中江裕司監督。『ナビィの恋』、『ホテル・ハイビスカス』はどちらも沖縄の不思議いっぱいの映画だった。1998年の『ナヴィの恋』は沖縄では18万人の動員で、これは『タイタニック』を抜いて沖縄県の最多動員を記録 した。そして彼は、2003年には石垣島の底抜けに明るいお年寄り楽団のドキュメンタリー『白百合クラブ 東京へ行く』を自主制作、06年には那覇市の閉 館した映画館を街の劇場「桜坂劇場」として復活させたという沖縄どっぷりの監督なのだ。
 さて『恋しくて』だが、石垣島を舞台にしたラブストーリーで、これまた島の空気がたっぷり味わえる。3500人のオーディションで選ばれた主役たちは、 石垣島の太陽の下、のびのびと自然体で活躍する。登場人物になりきれるよう、監督が物語の時間にそって撮影したというとおり、彼らが映画の流れとともに成 長していく様子は、まるでドキュメンタリーをみているよう。主人公の母役、ジャズボーカリスト与世山澄子の歌う「What a Wonderful World」は絶品。もちろんBEGINの「恋しくて」もいい。


■『ひめゆり』★★★☆☆
柴田昌平監督は、1963年生まれ。彼が上映会で「ひめゆりと言った時、私より上の人たちにはまたかと思われ、下の年代の人たちには知らないと言われるのでは」と語った言葉が印象に残る。彼が実際に出会った生存者たちが背負ってきた壮 絶な体験、それは、時間の経つ中でようやく言葉にして彼女たちの中から出てきたものだった。今まで語られなかったたくさんのことが、生き残った者の使命と して映画の中で今思いを込めて語られようとしている。
 敗戦間近の沖縄で、看護活動を担った15歳から19歳のひめゆり学徒隊の女学生たち、211人が亡くなったその悲惨な体験を13年間かけて記録した柴田 監督は、彼女たちの証言をとことん記録したいという思いでカメラを回し続けたという。「こちらからカメラをストップすることはやめよう。皆さんが語り終え たと思えるまで何時間でもカメラを回そう」と決めていたという。80歳前後となった彼女たち22人の語る沖縄戦は凄まじい。とりわけ、米軍が包囲する中、 解散命令を受け突然戦場に投げ出された彼女たちが、その後の数日で100名以上亡くなったというその現実を忘れてはならない。