2007年6月6日水曜日

KIの映画評 vol.9

 太平洋戦争後アメリカに占領されていた沖縄が復帰して35年。沖縄に行くのにパスポートが必要だったなんて知っている人は少なくなっているんだろうなあ。 でも、悲惨な地上戦が戦われた地であることと、米軍基地が集中していることは知らないではすまされない。縁あってこの6、7年沖縄に何度も通っているが、 行く度になんと言ったらいいのだろう、その空気に圧倒されるというか。なにか、沖縄には違うカミサマが住んでいるようなのだ。今回紹介するのは沖縄の映画 2本。『涙そうそう』なんか見ている場合じゃないよ。(KI)

■『恋しくて』★★★☆☆
 沖縄の映画といえば、中江裕司監督。『ナビィの恋』、『ホテル・ハイビスカス』はどちらも沖縄の不思議いっぱいの映画だった。1998年の『ナヴィの恋』は沖縄では18万人の動員で、これは『タイタニック』を抜いて沖縄県の最多動員を記録 した。そして彼は、2003年には石垣島の底抜けに明るいお年寄り楽団のドキュメンタリー『白百合クラブ 東京へ行く』を自主制作、06年には那覇市の閉 館した映画館を街の劇場「桜坂劇場」として復活させたという沖縄どっぷりの監督なのだ。
 さて『恋しくて』だが、石垣島を舞台にしたラブストーリーで、これまた島の空気がたっぷり味わえる。3500人のオーディションで選ばれた主役たちは、 石垣島の太陽の下、のびのびと自然体で活躍する。登場人物になりきれるよう、監督が物語の時間にそって撮影したというとおり、彼らが映画の流れとともに成 長していく様子は、まるでドキュメンタリーをみているよう。主人公の母役、ジャズボーカリスト与世山澄子の歌う「What a Wonderful World」は絶品。もちろんBEGINの「恋しくて」もいい。


■『ひめゆり』★★★☆☆
柴田昌平監督は、1963年生まれ。彼が上映会で「ひめゆりと言った時、私より上の人たちにはまたかと思われ、下の年代の人たちには知らないと言われるのでは」と語った言葉が印象に残る。彼が実際に出会った生存者たちが背負ってきた壮 絶な体験、それは、時間の経つ中でようやく言葉にして彼女たちの中から出てきたものだった。今まで語られなかったたくさんのことが、生き残った者の使命と して映画の中で今思いを込めて語られようとしている。
 敗戦間近の沖縄で、看護活動を担った15歳から19歳のひめゆり学徒隊の女学生たち、211人が亡くなったその悲惨な体験を13年間かけて記録した柴田 監督は、彼女たちの証言をとことん記録したいという思いでカメラを回し続けたという。「こちらからカメラをストップすることはやめよう。皆さんが語り終え たと思えるまで何時間でもカメラを回そう」と決めていたという。80歳前後となった彼女たち22人の語る沖縄戦は凄まじい。とりわけ、米軍が包囲する中、 解散命令を受け突然戦場に投げ出された彼女たちが、その後の数日で100名以上亡くなったというその現実を忘れてはならない。

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