7月23日、オスプレイ陸揚げ・配備に抗議する岩国現地行動が行われることになり、急遽、行くことにした。防衛省から岩国市に到着の予定通告が入ったものの、時間などは明らかにされず、行動の最終決定が実行委員会で行われたのは、19日夜。23日朝、基地岸壁に接岸、陸揚げが行われると見て、当日7時から阻止・抗議行動が、基地と門前川を挟む対岸の河口地域の堤防で行われることになった。岩国基地は門前川と今津川の河口地帯の三角州のほぼ全部を占めている。
行動の呼びかけは、空母艦載機移転に反対し、岩国市の住民投票に取り組んできた「住民投票の成果を活かす岩国市民の会」、愛宕山への米軍住宅建設に反対する地元住民のグループ「愛宕山を守る会」、岩国基地の爆音に対する「岩国爆音訴訟の会」、「ピースリンク広島・呉・岩国」などの市民団体。
前日22日、岩国に到着。この日に市役所前で開かれた市民集会には間に合わなかったが、新聞によれば1000人規模の集会になったとか。
夜、愛宕山を守る会の岡村さんに連絡すると、「グリーン・リッジ」の入港が早まったので、行動も未明から、4時半に船溜まりに集合してゴムボートに乗ることになり、迎えに行けないから自力で来てと言われた。頑張って起きるので私も乗せてくださいと言うと、もう満員と言われて断念。結局6時8分の始発列車に乗って、南岩国駅から現地に行くことにした。
当日は朝から晴れ。ハス畑の間を通って堤防に着くと、オスプレイを積んだ民間輸送船「グリーン・リッジ」(3万2,326トン)は5時半ころに接岸したとのことで、その巨大な船体が逆光にかすんで見える。大きい。しかし、基地の堤防に高さがあって、陸揚げの様子などを見ることは出来ない。
ハス畑。右手にみえるのは米軍住宅予定地・愛宕山。
岩国基地では沖合滑走路を建設した際に、港を5m浚渫し、大型艦船が接岸できるようにしていた。岩国基地は着々と強化されている。辺野古新基地計画にも大型港湾施設が建設されるとされており、ここは先行事例ではないだろうかと思う。
朝もやのグリーンリッジ
基地対岸の堤防には手前にJR西日本などの旗を立てた労働団体、堤防の先端に「愛宕山に米軍住宅はいりません」の黄色い旗を持った愛宕山を守る会などの市民が陣取る。周りにはテレビ局、新聞社、通信社などたくさんのマスコミが集まっている。
6時半ころ「来るな!オスプレイ」の横断幕を掲げてゴムボートやカヤックが海上を走る。沖合には海上保安庁の船が浮かび、グリーン・リッジには容易に近づくことはできない。堤防から「オスプレイは来るな!」「持ってかえれ!」「オスプレイは飛ぶな!」と間断なくシュプレヒコールが続く。
対岸の堤防からシュプレヒコール
ゴムボートに乗って抗議行動
8時をしばらく過ぎたころ、愛宕山を守る会の人にNHKのアナウンサーが「8時6分に1機目が陸揚げされたそうですが・・」とマイクを向ける。どうして分かったんですか?と聞くと、他にカメラがあるんで、という。そういえば空にはヘリコプターが何機か飛んでいた。
8時半に労組が引き上げ、市民も午後の集会の為のテントなどを設営し終わると一旦解散。車に乗せてもらって船溜まりに寄り、海上行動組の皆さんと会う。
午後の行動は1時から、同じ堤防で抗議とアピール、人間の鎖。
今日の行動には、沖縄からもヘリ基地反対協の安次富浩さん他、高江住民、平和市民連絡会、普天間、嘉手納の爆音訴訟原告らが参加、本土で基地反対運動に取り組んできた横須賀や厚木、佐世保のグループからも参加者があった。参加者数は朝の行動では300人、午後の行動は600人だった。
「怒」と書いた紙を掲げる
「オスプレイ来るな!」の手作り旗
この方は広島から
空母艦載機受け入れでは、受け入れに反対する井原元市長と激しく対立した市議会もオスプレイについては6月定例議会で搬入に反対の決議を全会一致で可決した。
岩国市長、山口県知事はともに安全性が確保されないままでの陸揚げには反対との姿勢を示している。しかし、艦載機59機の受け入れや愛宕山への米軍住宅建設などを進めてきた首長たちなので、きっと裏交渉をしていると市民は言い、不信感がある。だとしても、沖縄のように首長が反対を言わざるを得ない状況を市民が作っていくことも必要だろう。
オスプレイは整備、試験飛行の後、普天間に配備されるというが、低空飛行訓練の予定ルートは全国に渡る。岩国も訓練飛行基地として使用される可能性は大いにあるだろう。
沖縄・高江では、7月に入り、ヘリパッド建設工事が強行されているという。仲井真知事はオスプレイ反対というならば、建設工事も当然中止を求めるべきだ。
政府が安全と言い募って強行するやり方は、原発再稼働と全く同じだ。
これまで岩国の住民は基地の存在を仕方がないものとして受け入れてきた。しかし、空母艦載機の受け入れを巡る住民投票以降、人々は声をあげ始め、沖縄の市民運動との連携も強まっている。まずは力を合わせて岩国の空を飛ばせない闘いが必要だ。
(編集部・い)