さて、ふぇみんでもオリンピックの華やかな面に必ずつきまとう、いえ、華やかなベールにくるむ形で行われる、環境破壊、環境整備の名の下の野宿者追い出しなど弱者排除、高まるナショナリズムと優生思想・・・などを批判してまいりました。
が、ここにきて、東京オリンピック反対の声を上げるAさん宅へ、ささいな罪を理由にした家宅捜索が行われました。
ふぇみんでは、ここに抗議声明を発表します。
声明 五輪反対の声を上げるAさんへの不当な家宅捜索に抗議します
2020年3月4日
ふぇみん婦人民主クラブ
私たちふぇみん婦人民主クラブは、ジェンダー、平和、環境などの問題解決のために活動する、全国の女性たちからなるNGOです。
2020年2月18日早朝、今年の夏開催予定の2020東京オリンピック・パラリンピックに対して、反対の声をあげ活動しているAさんが「免状不実記載」の被疑事実を理由にして家宅捜索を受けました。Aさんの住まいに警視庁公安等、約30名もの私服警察が入り込みました。Aさんは屋外に出され、写真を撮られたうえに身体捜索まで受けさせられ、口の中からDNAを取ることまで要求されました。Aさんは任意であることの確認を取り、拒否しましたが、人権侵害の悪質な取り調べだったそうです。
家宅捜索は3時間半に及び、パソコンや携帯電話、手帳や身分証、銀行カード、郵便物など、個人情報が分かる私物を押収されました。その間Aさんは上着を着ることも許されず、警官に取り囲まれ、トイレまで監視されるという非人道的扱いを受けました。警察は最後に再びDNA採取の要求や所轄署への任意同行を求めたといいます。
私たちはこうした警察等による暴挙を許すことはできません。
「免状不実記載」という言い方はものものしいですが、私たちが引っ越した時に住所変更を後回しにすることなどよくあることです。
またDVから逃れるなどのさまざまな事情により、身分証の記載とは異なる場所で生活せざるを得ない人はたくさんいます。女性の問題に取り組む私たちにとっては、とても他人事ではないのです。こんなことで、家宅捜索をされ、毛髪の押収や指紋の採取、DNA鑑定を要求してくるなど、女性問題だけでなく社会運動に関わる私たち一人ひとりにとっても看過することはできません。
個人の尊厳を踏みにじる執拗で悪質な捜索は、国家の威信をかけたオリンピック・パラリンピック開催に、反対の声を上げるものたちを萎縮させ、運動を潰すための弾圧ではないでしょうか。
オリンピック・パラリンピックは「復興五輪」と位置付け、福島原発事故の惨状を覆い隠し、さらに開催費3兆円を超える多額の税金をかけ、自然・環境破壊、野宿者を排除して、生活の場を奪い、行政による監視機能を強化するなど様々な問題を浮き彫りにしています。
今回の家宅捜索は、そうした問題に目を向け、声をあげ、反対するものたちを封じ込めようとする国・警察の暴力性を剥き出しにしました。
家宅捜索を強行した警視庁公安、令状を発布した東京地方裁判所に強く抗議します。