ふぇみん1面のインタビューの写真撮影でおなじみ、写真家・落合由利子さんの
写真展が、東京・大田区の大田区立男女平等センターエセナおおたで開催されている。
http://www.escenaota.jp/data/2014/2014photoochiaichirashi.pdf
タイトルは、「働くこと育てること」「絹ばあちゃんと90年の旅」。
会期は、2014年8月30日(土)まで。
最終日には、落合さんが会場に登場される予定とのこと。
働き、育てる女性たちの姿がぐっと胸に迫る写真をどうぞ。
以下は、落合さんからのメッセージです。
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「働くこと育てること」「絹ばあちゃんと90年の旅」写真展に寄せて
落合由利子
「働くこと育てること」の写真展の話しをいただいたとき、2014年の今再び展示を
するのなら、「絹ばあちゃんと90年の旅」と一緒にやりたいと思いました。
「働くこと育てること」は保育雑誌「ちいさいなかま」に1998年から4年間連載した
仕事です。乳幼児を抱えながら仕事をする、男性・女性の丸一日に同行する。
私自身も乳幼児の子どもを二人育てながらの、等身大で臨んだドキュメンタリーです。
たった一日だけど、確実に一生のうちの一日、その人のリズムに入れさせてもらう、
それはかなりおもしろい経験でした。目を開き耳を澄ますと、どんな人の中にも物語が
詰まっている、ということを実感しました。生きるということはそれだけ大変でおもしろい
ことなのだと。
「絹ばあちゃんと90年の旅」では、伊豆・天城の山奥に暮らす後藤絹さんを訪ね、
日常を共有し、その記憶を旅しました。
開拓団として満州に渡り、ソ連侵攻による避難生活で3人の子どもを亡くした
絹さんは言います。
「あんた、子どもを亡くした気持ちなんてわかんないだろう。医者に診てもらって
死んだんじゃないの。見殺しなんだから。何もできなくて、見ている前で死んでいく
んだから。こんな気持ちはわからなくていいよ」と。
私は学生時代、歴史を学ぶことに意味を見いだせなかったというより、暗記が
苦手で歴史はただの不得意科目でした。ときどき痛烈な冗句を飛ばしながら今を
生きる、絹さんという光をたよりに、過去と現代をいったりきたりする旅を6年続けて、
気がつくと、自分の中に近代史の軸が出来ていました。
「働くこと育てること」で出会った子どもたちは今、20歳前後になっています。
1913年生まれの後藤絹さんは、もうすぐ101歳になります。
この二つの仕事を並べたとき、時の流れのなか、今自分が生きている時間を
確認しながら、日常が放つなにげない輝きが続いていく世の中でありたいと思うのです。
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