編集部の石田による報告。
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2013年3月半ば、飯舘村での測定調査に同行した。
京都大学原子炉実験所の今中哲二さんを中心とした飯舘村放射能汚染調査グループだ。今中さんは2011年3月下旬、飯舘村に入り、全域を測定、以来定期的に測定に入っている。今回は2年目、通算4回目だった。
午前中に帰宅困難地域に指定されている長泥地区にはいった。比較的家屋が集まった長泥交差点から5班に分かれたメンバーが5方向に散る。徒歩で道路上、家の前、裏庭など1家屋につき3か所を測定していく。路上は雨などによって流されたせいもあってか比較的線量は低い。といっても3~4μSv。家の敷地内に入ると高くなって6から、高いところでは9μSvもある。半減期から考えられる減衰におおよそ合致するところもあるが、場所によっては思ったほど下がっていないところもある。周りの環境によって左右されているのだろう。
午後は2011年3月の測定コースに従い、全村内を170箇所を車でめぐって測定した。
今中さんによれば「仮に“汚染を気にしなくていいレベル”を0.1μSv/h とするなら、現在の空間線量率が10μSv/h の場合には約150 年、1μSv/h の場合には約60 年の時間が必要なことを示している」という。
長泥地区での測定(家の前で) |
道路で測定 |
人のいなくなった民家の庭先にはサルが出没し、イノシシも多くいて畑などを荒らしている。人気のない長泥のある家の入口に開拓入植を記念する石碑が建てられていて胸が痛む。
庭先に猿が出没して餌をあさる |
入植記念碑 |
移転のお知らせ(草野地区の店で)「今後いつ帰村できるかわかりません」「新天地で営業を再開します」と書かれている |
飯舘村では昨年から試験除染を実施している。昨年は村のクリアセンター(以前からのごみ処分場)に汚染土を詰め込んだフレコンパックが崩れ落ちそうに積み上げられていたが、現在は仮置き場の建設が進み、国有地の高圧鉄塔下が切りひらかれてフレコンパックが運び込まれていた。村は除染して村民の帰村を図る方針だが、膨大な山林の除染が可能なのか、そのすべての汚染土を置く仮置き場が確保できるのか、除染によって安心して帰れるほど線量が下がるのか、問題は山積している。
試験除染中の田(2012年7月)袋に4μSvや5μSvと書かれたラベルが下がる |
除染後の田(2013年3月)表土を10~15cmはぎ、その上に土をかぶせているが、1μSv以上ある。 |
2012年7月のクリアセンター |
整備中の仮置き場(2012年8月) |
すっかり整備された鉄塔下(2013年3月) |
警察署詰所の隣りにある仮仮置き場。若い警察官が詰めているので心配だ。 |
長泥にはつづれ折りの坂があり、山頂近くには見晴し台がある。沿道には桜並木が続き、花の季節には、さくら、つつじなどが一斉に咲きそろうそうだ。冷涼な山間地である飯舘村では花も遅い。5月頃が見ごろだというが、花は今咲いているだろうか。
長泥の見晴し台からの眺め(2012年7月) あの山の向こうから放射能がやってきた |
調査の詳細は「飯舘村放射能エコロジー研究会」のホームページ 飯舘村放射能汚染調査グループ「飯舘村放射能汚染状況調査(2013 年3 月)の報告」で見ることができる。
http://iitate-sora.net/report