11月28日の参議院本会議で、労働契約法が賛成多数で可決されました。
賛成220、反対15。反対票を投じたのは社民党、共産党のほかに、糸数慶子議員、川田龍平議員、田中康夫議員でした。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_b04_01.htm
同日、最低賃金法改正案も可決されました。
上記の2つと「労働基準法改正案」をまとめて「労働三法」として同時に審議されていましたが「労基法改正案」は継続審議となっています。
さて、労働契約法の問題ですが。
「ふぇみん」2007年5月15日号に詳しく載せています。
働くうえでの細々としたルールは就業規則です。始業時間の規定とか、有給が何日とか、各種休暇についての規定とか。ま、この就業規則自体、見せてもらえていない労働者が多いのですが。(でも見せてくれ!といえば見せてくれます。というか、いつでも閲覧できる場所にあるべきものなのです)
就業規則は使用者側が作成するものですが、労働者そのルールに不服だと思えば、使用者側と話しあって交渉して、その合意したものを優先してきたのです。で、そこでどうしても合意できない場合は、労働者が裁判を起こして解決をはかります(でも裁判を起こすのは膨大なエネルギーが必要で誰でもできるものではないですね、だから泣き寝入りしている労働者がほとんどでしょう)。
今回、新しく作られた「労働契約法」は、職場の就業規則を「労働契約」とする、という法律。
使用者側がつくったルールを、彼らが「これは合理的なルールだ!」と判断し、そしてそのルールを労働者に“お知らせ”(周知)すれば、オールOK。「このルールが気に入らないなら辞めてもらって結構ですよ」なんて言われかねない。
この法律には「労使対等」という、あまりにばかばかしい前提がある。
使用者と労働者の権力関係をあまりにも無視したこの法律。権力を持つものが「これがルールですから」と言えば、労働者はイエスというしかないじゃないか。
また、使用者側が働くルールを変更したいとき、それを彼らが「合理的」だと判断すれば、労働者がたとえ不満であっても一方的に変えることができる。
労働組合や、労働者代表(使用者側に都合のいい“労働者代表”を置いている会社もあるしね)と協議の場があったとしても、その変更にノーを言っても、そんなのお構いなしにルールは変更できてしまう。
労働条件の切り下げがいとも簡単にされてしまって、「受け入れるか、辞めるか」の二者択一を迫られることになりかねません。
この法律、「最近、労使間の紛争が増えてるから新しい解決システムがいるよー、いちいち面倒なんだもーん」という、財界の強力な要請があってのことなんです。
与党が出してきた法案に、民主党は対案をすぐ引っ込め、いそいそと修正協議に乗りだし、あっという間に可決。なにが「ねじれ国会」だ。
この法律の「毒」を、ACW2が解説しています。
http://acw2.org/news?id=175