10月22日はいよいよ衆議院議員選挙の投票日です。
当落情報を見たりして、どこに、誰に入れようかと頭を悩ませる今日この頃・・・。
ふぇみん10/15号では、この選挙で私たちはどんなことを考え、行動したらいいか、政治学者の五野井郁夫さんにインタビューしました。
その記事を公開しますので、ぜひ、あなたの一票の助けにしてください★
私たちの大事な一票のために。
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●五野井郁夫さん(政治学者)に聞く 衆議院解散総選挙
「希望」に希望を託さず 真の野党共闘へ
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(前文)
降って湧いた衆議院の「国難」解散総選挙が迫る。安倍首相は臨時国会冒頭に解散をして森友・加計問題を吹き飛ばそうとし、小池都知事が「希望の党」を立ち上げ、野党共闘の要だった民進党・自由党の多数が希望の党に合流。その後リベラル派が「立憲民主党」を設立した。めまぐるしく状況が変わるなか、私たちは何を目指して行動し、投票すればいいか。政治学者で、「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人の五野井郁夫さんに聞いた。
(本文)
この間、瞬間的に「安倍自民」対「小池新党」という対立になりましたね。それによって、森友問題、加計問題、詩織さんのレイプ被害告発もみ消しなど、権力が我々の税金、財産を私物化し、犯罪をのさばらせることを許すか許さないかという本来の争点が見えなくなりました。
ほかにも北朝鮮「危機」を利用した「ショックドクトリン(惨事便乗主義)」も出てきていますね。北朝鮮「危機」をめぐる情勢はこの19年変わらないのに、です。
そうしたなか「立憲民主党」が設立され、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が要請する憲法9条改憲反対、安保法制・共謀罪廃止、検証なき原発再稼働の反対など7項目の政策や、共産党、社民党との共闘に合意しました。
これで民進党に懐疑的だった人も、迷いなく立憲民主党を応援できますし、昨年の参議院議員選挙の1人区で成果を挙げた野党共闘をもっと進めていくことができます。
「希望」は“第3自民”
皆さんもうお気づきでしょうが、希望の党は、政策的には日本維新の会に次ぐ「第3自民党」と言ってもいいし、選挙後には必ず自民党に協力するでしょう。憲法改正、安保法制には基本的に賛成、当初掲げた「原発ゼロ」も政策協定書から外しました。先日は、加計学園問題で問題になった経済特区制度について、小池さんは安倍首相と会合し、さらなる強化のための協力をするとしました。
自民党内にはまだリベラルの旗印を掲げる人もいます。先日安保法制に反対した村上誠一郎議員の勉強会に60人集まったように、自民党議員は地元に帰れば地盤・看板を持つ“お殿様”ですから、党の意向が必ずしも絶対ではない。
希望の党は、そういうリベラルを排除し、議員の議論、発言すら認めません。民主主義で一番大切なのは討議であるにかかわらず、です。多様性を認めないのが特徴です。
東京都知事が女性であることは、間違いなく政治の進歩です。しかし小池さんがどんなに穏やかな緑色の服を着ようとも、そもそもジェンダーフリーを攻撃し、歴史修正主義、憲法改正を進める日本会議国会議員懇談会でも副会長などの中心的な役割を果たし、首都核防衛も主張していた「極右」と言っていい人。自民党よりも「右」です。
一瞬リベラル派を喜ばせる「原発ゼロ」を掲げたのも、彼女が石油利権に関係が深いという点では、地球温暖化推進のトランプ米大統領と同じなのです。
右派ポピュリスト政党
小池さん率いる「都民ファースト」や「希望の党」は、イタリアの五つ星運動に似ています。ベッペ・グリッロという芸人が始めた政治運動ですが、素人や新鮮な顔を候補者に立てて、「既得権益を打破します」と。しかしやったことは、自分のお友達への利権の付け替えと優遇措置。「規制緩和します」と言ってやったことは、我々の税金、財産をかすめ取ること。大阪維新の会もそうですね。そして素人議員は発言するとボロが出ますから、議論させず、取材に応じさせずに、広報だけがメディア取材に対応します。党の形は全体主義に近くなります。
この「右派ポピュリスト政党」は、新自由主義が生み出した格差貧困を背景に世界中に蔓延しています。ファシズムと同じで、その時々で風を読み機敏に動く才能のある人が党首になり、富の再分配をするなど威勢のいいことを言う。しかし実際に富の再分配はせず、自分のお友達に利権を付け替えるだけ。そして人々の暮らしの不満を、移民や外国人の責任にし、排斥するなど右派イデオロギーで誤魔化す。「ラストベルト(さび付いた工業地帯)を救う」と言っていたトランプ大統領もそうです。
小池さんも威勢のいいことを言いましたが、オリンピック予算は結局圧縮せず、豊洲も築地も両方とも無駄な再開発をすることで、建設会社、ディベロッパー、道路整備業者が潤う。一方で、韓国人学校への都有地貸与を撤回し、関東大震災の朝鮮人虐殺犠牲者の追悼文を送らない。震災に乗じた朝鮮人虐殺をなかったことにしたいのです。まず権利を奪われるのは一票を持たないマイノリティです。実際、希望の党の政策協定書には「外国人への地方参政権付与反対」があります。マイノリティを守れない政治は、一票を持つ人の生活や命も簡単に犠牲にする政治です。
地方から中央へ
これに対してスペインのポデモス、ギリシャの政権党・シリザなど「左派ポピュリスト政党」が、今世界で力を持ち始めています。右派との違いは、左派は再分配を実現し、近代的価値たる立憲主義、民主主義、人権と自由を守ります。
日本では、「市民連合」「未来のための公共」、最低賃金1500円を要求する「エキタス」などが、野党共闘、リベラル派を一つにするプラットフォームになっています。過去の恩讐を超えて手を結ばないと、憲法と我々の暮らしを守れないという危機の時代だからです。
このような新しい連合体を「アセンブリー(集会)」と言いますが、多様性を認めながらお互い議論をしていくのです。この「アセンブリー」の思想は、これまで少しずつ野党共闘の中で出来上がってきましたし、特に地方から開花しつつあります。それが野党共闘をしてリベラル派が勝利した、昨年の新潟県知事選であり、先日の東京・武蔵野市市長選挙でした。
さあ、これからです。希望の党に騙されず、立憲主義、民主主義、人権や自由など近代的価値を守るために、真の野党共闘を進めていきましょう。
まとめ ● 柏原登希子
「市民連合」の政策要望7項目
1、 憲法改正、9条改正反対
2、 特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法の白紙撤回
3、 原発ゼロ実現を目指す
4、 森友学園・加計学園問題、南スーダン日報隠蔽疑惑の徹底究明と透明・公平な行政の確立
5、 子ども・若者のための保育、教育、雇用政策の拡充
6、 「働き方改革」反対と生活底上げの経済、社会保障政策の確立
7、 LGBTの差別解消施策、女性への雇用差別・賃金格差撤廃、選択的夫婦別姓、議員男女同数化の実現
「希望」に希望を託さず 真の野党共闘へ
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(前文)
降って湧いた衆議院の「国難」解散総選挙が迫る。安倍首相は臨時国会冒頭に解散をして森友・加計問題を吹き飛ばそうとし、小池都知事が「希望の党」を立ち上げ、野党共闘の要だった民進党・自由党の多数が希望の党に合流。その後リベラル派が「立憲民主党」を設立した。めまぐるしく状況が変わるなか、私たちは何を目指して行動し、投票すればいいか。政治学者で、「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人の五野井郁夫さんに聞いた。
(本文)
この間、瞬間的に「安倍自民」対「小池新党」という対立になりましたね。それによって、森友問題、加計問題、詩織さんのレイプ被害告発もみ消しなど、権力が我々の税金、財産を私物化し、犯罪をのさばらせることを許すか許さないかという本来の争点が見えなくなりました。
ほかにも北朝鮮「危機」を利用した「ショックドクトリン(惨事便乗主義)」も出てきていますね。北朝鮮「危機」をめぐる情勢はこの19年変わらないのに、です。
そうしたなか「立憲民主党」が設立され、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が要請する憲法9条改憲反対、安保法制・共謀罪廃止、検証なき原発再稼働の反対など7項目の政策や、共産党、社民党との共闘に合意しました。
これで民進党に懐疑的だった人も、迷いなく立憲民主党を応援できますし、昨年の参議院議員選挙の1人区で成果を挙げた野党共闘をもっと進めていくことができます。
「希望」は“第3自民”
皆さんもうお気づきでしょうが、希望の党は、政策的には日本維新の会に次ぐ「第3自民党」と言ってもいいし、選挙後には必ず自民党に協力するでしょう。憲法改正、安保法制には基本的に賛成、当初掲げた「原発ゼロ」も政策協定書から外しました。先日は、加計学園問題で問題になった経済特区制度について、小池さんは安倍首相と会合し、さらなる強化のための協力をするとしました。
自民党内にはまだリベラルの旗印を掲げる人もいます。先日安保法制に反対した村上誠一郎議員の勉強会に60人集まったように、自民党議員は地元に帰れば地盤・看板を持つ“お殿様”ですから、党の意向が必ずしも絶対ではない。
希望の党は、そういうリベラルを排除し、議員の議論、発言すら認めません。民主主義で一番大切なのは討議であるにかかわらず、です。多様性を認めないのが特徴です。
東京都知事が女性であることは、間違いなく政治の進歩です。しかし小池さんがどんなに穏やかな緑色の服を着ようとも、そもそもジェンダーフリーを攻撃し、歴史修正主義、憲法改正を進める日本会議国会議員懇談会でも副会長などの中心的な役割を果たし、首都核防衛も主張していた「極右」と言っていい人。自民党よりも「右」です。
一瞬リベラル派を喜ばせる「原発ゼロ」を掲げたのも、彼女が石油利権に関係が深いという点では、地球温暖化推進のトランプ米大統領と同じなのです。
右派ポピュリスト政党
小池さん率いる「都民ファースト」や「希望の党」は、イタリアの五つ星運動に似ています。ベッペ・グリッロという芸人が始めた政治運動ですが、素人や新鮮な顔を候補者に立てて、「既得権益を打破します」と。しかしやったことは、自分のお友達への利権の付け替えと優遇措置。「規制緩和します」と言ってやったことは、我々の税金、財産をかすめ取ること。大阪維新の会もそうですね。そして素人議員は発言するとボロが出ますから、議論させず、取材に応じさせずに、広報だけがメディア取材に対応します。党の形は全体主義に近くなります。
この「右派ポピュリスト政党」は、新自由主義が生み出した格差貧困を背景に世界中に蔓延しています。ファシズムと同じで、その時々で風を読み機敏に動く才能のある人が党首になり、富の再分配をするなど威勢のいいことを言う。しかし実際に富の再分配はせず、自分のお友達に利権を付け替えるだけ。そして人々の暮らしの不満を、移民や外国人の責任にし、排斥するなど右派イデオロギーで誤魔化す。「ラストベルト(さび付いた工業地帯)を救う」と言っていたトランプ大統領もそうです。
小池さんも威勢のいいことを言いましたが、オリンピック予算は結局圧縮せず、豊洲も築地も両方とも無駄な再開発をすることで、建設会社、ディベロッパー、道路整備業者が潤う。一方で、韓国人学校への都有地貸与を撤回し、関東大震災の朝鮮人虐殺犠牲者の追悼文を送らない。震災に乗じた朝鮮人虐殺をなかったことにしたいのです。まず権利を奪われるのは一票を持たないマイノリティです。実際、希望の党の政策協定書には「外国人への地方参政権付与反対」があります。マイノリティを守れない政治は、一票を持つ人の生活や命も簡単に犠牲にする政治です。
地方から中央へ
これに対してスペインのポデモス、ギリシャの政権党・シリザなど「左派ポピュリスト政党」が、今世界で力を持ち始めています。右派との違いは、左派は再分配を実現し、近代的価値たる立憲主義、民主主義、人権と自由を守ります。
日本では、「市民連合」「未来のための公共」、最低賃金1500円を要求する「エキタス」などが、野党共闘、リベラル派を一つにするプラットフォームになっています。過去の恩讐を超えて手を結ばないと、憲法と我々の暮らしを守れないという危機の時代だからです。
このような新しい連合体を「アセンブリー(集会)」と言いますが、多様性を認めながらお互い議論をしていくのです。この「アセンブリー」の思想は、これまで少しずつ野党共闘の中で出来上がってきましたし、特に地方から開花しつつあります。それが野党共闘をしてリベラル派が勝利した、昨年の新潟県知事選であり、先日の東京・武蔵野市市長選挙でした。
さあ、これからです。希望の党に騙されず、立憲主義、民主主義、人権や自由など近代的価値を守るために、真の野党共闘を進めていきましょう。
まとめ ● 柏原登希子
「市民連合」の政策要望7項目
1、 憲法改正、9条改正反対
2、 特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法の白紙撤回
3、 原発ゼロ実現を目指す
4、 森友学園・加計学園問題、南スーダン日報隠蔽疑惑の徹底究明と透明・公平な行政の確立
5、 子ども・若者のための保育、教育、雇用政策の拡充
6、 「働き方改革」反対と生活底上げの経済、社会保障政策の確立
7、 LGBTの差別解消施策、女性への雇用差別・賃金格差撤廃、選択的夫婦別姓、議員男女同数化の実現