2025年2月13日木曜日

外務大臣宛に「外務省による拠出金使途からの女性差別撤廃委員会除外への抗議と要請」を送りました!

 皆さん、こんにちは。

1月 末、昨年行われた国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の日本審査総括所見の中で「皇室典範の改正」が勧告されたことを理由に、日本が国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に出している拠出金の使途からCEDAWを除外するよう外務省が国連に求めたことと、CEDAW委員の今年度の訪日プログラムの実施を見送ったことに関して、ふぇみんは以下のような抗議と要請文を2月13日付で、岩屋外務大臣宛に送りました。

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岩屋  外務大臣 様

 

外務省による拠出金使途からの女性差別撤廃委員会除外への抗議と要請

2025213

 

 

ふぇみん婦人民主クラブ

共同代表 坂上祥子 二木洋子 片岡栄子

東京都渋谷区神宮前3-31-18

tel 03-3402-3234

 

私たちは、ジェンダー平等、脱原発、平和、環境問題に取り組んできた、1946年に創立された全国の女性たちからなるNGOです。

    昨年行われた国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の日本審査総括所見の中で「皇室典範の改正」が勧告されたことを理由に、日本が国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に出している拠出金の使途からCEDAWを除外するよう外務省が国連に求めたことと、CEDAW委員の今年度の訪日プログラムの実施を見送ったことに強く抗議します。

  女性差別撤廃条約第1条では、「女子に対する差別」とは、「性に基づく区別、排除又は制限であつて、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女子が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう」とし、たとえ「国の歴史や伝統」を背景にしているとしても「皇室典範」が除外されるものではありません。現にスペイン等他の国も男子継承の王位の問題について勧告を受けています。

 女性差別撤廃条約を批准した以上、そして憲法98条に国際条約の遵守義務がある以上、政府として行うべきことは、自国の主張が通らないからCEDAWを使途から除外するという報復的脅しなどではなく、勧告を日本に持ち帰り議論の俎上に乗せることです。現に近年をみても女性皇族が結婚後も皇室に残る案が検討されていました。そして今後もCEDAWとの「建設的対話」と、勧告というアドバイスを通じて、女性差別撤廃という世界共通の目標に一歩でも近づくよう努力をすることが求められているのです。

 

 さらに今回のCEDAWの総括所見では、皇室典範以外にも、マイノリティー女性の複合差別、労働、教育、慰安婦問題、性と生殖に関する権利と健康(SRHR)の保障、米兵による性暴力問題、選択的夫婦別姓等、12領域と60項目にわたる詳細で厳しい勧告が出ました。勧告を引き出したのは、国内で訴える機関がないために、CEDAWNGOレポートを提出したりロビイングをして差別の実態を訴えてきた女性たちです。ジェンダーギャップ指数が146カ国中118位の日本にあって、勧告はまさに女性たちの声が反映された、政府が今後本気で取り組まねばならない政策ばかりです。

 皇室典範への勧告を理由に、CEDAWを拠出金使途から除外することは、条約という国際社会での約束への裏切りであり、何より政府が本気で女性差別をなくそうとしていないことを示すことになります。そんな人権後進国に成り下がっていいのでしょうか。

 

 私たちは、外務省によるCEDAWへの拠出金除外の方針の撤回とCEDAW委員の訪日プログラム実施見送りの撤回を求めます。そして勧告内容の遵守と実施を強く求めます。